ホテイラン -とっていいのは写真だけ、残していいのは想い出だけ-

 八ヶ岳で行われた植物観察会に参加した。
 
 普段何気なく通り過ぎる山道を3倍くらいの時間をかけて、じっくり花々を見ながら逍遥し、色々教わった。

 色々な花を観察したが、中に絶滅危惧種Ⅱ類(VU)のホテイランがあった。VUは”vulnerable(脆弱な)”と言う意味で、絶滅危惧種Ⅱ類(VU)は”絶滅の危機が増大している種”と言う意味だ。

 少し前までは絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種)だったらしいが、見直しでⅡ類になってしまった。といって絶滅の危機が軽減されているわけではない。

 観察会の夜には、八ヶ岳の植物の生態や希少種の保護に関しての勉強会もあった。色々考えさせられる観察会だった。

=ホテイラン(布袋蘭)=
 ラン科ホテイラン属。亜高山帯の針葉樹林の林床にまれに生える。植物学者の牧野富太郎博士が"最も美しい野生の蘭”と称えた。
 しかし、近年盗掘で激減しているという。

 しわくちゃの葉に、するっと伸びた茎、紅紫色の花、袋状の唇弁。唇弁の先には髭のような2本の距。なんとも不思議な形である。見方によっては宇宙人の顔と言うか、「リトルショップ・オブ・ホラーズ」の人食い花というか(・・・ちょっと言いすぎ?!)

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 自然の造詣の美には驚かされる。

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 内側の模様もなかなか見事である。

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 平行立体視でごらんあれ。不思議な造形がより分かるでしょう。

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 ※写真をクリックすると大きくなります。


 さて、ホテイラン。盗掘が絶えないと言う。美しいし、希少だしということで、ひそかに取引がなされることもあるようだ。亜高山の林床を生育環境としている蘭を、標高の低いところに持っていっても育てることは困難であろうに。それに蘭は、その蘭特有の菌との共生があってこそきちんと育つということなので、無理に別の環境に持っていっても、定着しないだろう。

 こうした生育環境が限定された生態も、その蘭があるべくしてある環境であり、それがまた絶滅への道にもなっているのだから、自然のバランスとは如何に脆いものかと思い知らされる。増やそうとして移植を考えてもそう簡単にはいかないのだ。

 こうした盗掘目的の確信犯(という言い方はホントは違う。確信犯はそれが正しいと思って実行する輩なので、”認識犯”といったほうが良いと相方Kが申しています)はさておき、生態をよく知らず、まあ綺麗と摘んでいく花泥棒、周りに気を配らず、ずかずか踏み荒らしてしまう撮影マニアも、また問題なのだ。今回、自分では周りに気を配っていたつもりではあるが、他山の石である。

 よくある標語ではあるが、

  とっていいのは写真だけ、残していいのは想い出だけ
 
 採っていかないでね(盗ってかいないでね)、足跡残さないでね!ということだ。


 やはり手間がかかっても、花期には要所にロープを貼る等、明示的にしたほうが良いのかもしれない。”確信犯”は別として、無邪気に(あるいは無知のなせる業で)圧力をかけてしまうことは防げるかもしれない。

 あと例えば、カードなどに希少種に対し注意すべき点(場所は別)などを書いたものを登山道入り口で配るなどして、注意を促し、いろいろ知ってもらうというのはどうだろう。無知ほど恐ろしいものは無いので。

 あとは、木道で通路を固定して、生育場所に踏み込まないように徹底する方法も。観察用には望遠鏡を設置。

 うーむ、いずれもそれなりにコストがかかるなあ。でも、なにかやらないと・・・・

 小学校からの教育の中で自然をどう守るかを具体的に教えていくことも必要だろう。


 ホテイランのように絶滅危惧種にはなっていないが、もうひとつ希少な蘭に出会った。

=イチヨウラン(一葉蘭)=
 ラン科イチヨウラン属。低山から亜高山帯にまれに生える。葉を一枚一枚出すことから一葉蘭。これも近年盗掘が多い蘭なのだという。
 小ぶりで、あまりどぎつくない佇まい。

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 妖精が緑の星を背負っていると言う感じかなあ。

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 これも立体視で....

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 ※写真をクリックすると大きくなります。


 さて、希少種を守るには?あなたならどうする。




 

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